歳を重ねる楽しみ
2022年の9月10月、毎週土曜日に山口新聞 の東流西流 というコーナーでコラムらしきものを書かせていただきました。
2ヶ月間にわたって、毎週、限られた文字数で、自分の想いや気持ちを綴ることは大変な作業でしたが、担当の新聞記者さんのおかげでやり切ることができ、自分と向き合うとても価値ある経験となりました。
有り難いことに「まとめて読みたい」とお問合せいただき、こちらに同じものを載せておきます🙇♀️
写真はコラムのなかで紹介している、以前ギャラリーで開催した色鉛筆画の展示です。
山口に越して来て、祖母としばらく一緒に住んでいた時期があって、思うように動かなくなった自分をことあることに「つまらんものになった」と嘆いていました。祖母は、若い時は何事もテキパキとこなす人でそれが自分の誇りであり自信で、そう出来ない人をさげずんでいるところがあり、自分自身がそうなっていくことが耐えられなかったんだと思います。『老いる』ということは人としての価値が下がることでは決してないはずなのに。自分で自分を否定することは、何より悲しいことなので、そうでないことに気がついて欲しかった。
そういう想いもあって書いた文章です。
【歳を重ねる楽しみ】
都会に住んでいる時、老いていくことは人の価値が劣っていくような感覚があった。早く早くとスピードを求められ、もっとたくさんの生産と消費を求められていたから。
昨年、鹿野に住む87歳の方の鉛筆画をギャラリーで展示させてもらった。60歳から独学で20年間コツコツと描かれた写真のような繊細な作品展示は大好評だった。しかし私が作品よりもっと輝いて見えたのはその絵を描かれたご本人だった。
鹿野に帰ってきて感じたこと。年齢を重ねても、肉体労働に頼らなければ、やりたいことが制限される訳じゃない。自分も40歳を過ぎて、若いときは体力に任せていたことが、できないことが増えてくることでほんとうに自分がやりたかったことすべきことが見えてきたように思う。むしろ衰えていく身体に制限されるからこそ、洗練された無駄のない思考が生まれてくるようのではないのだろうか?きっと、そこには新たな労働のアイデアも生まれるはず。心は年をとらない、想像力は無限に広がる。
この町で年齢を重ねていくことが今は楽しみに思える。その時、その時の自分で精一杯を生きることが出来そうだ。がんばれ!いや頑張るな!
(周南市、ベーカリー・ギャラリーオーナー うめざわしのぶ)
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